今回は「特色検査(とくしょくけんさ)」について、わかりやすくまとめます。名前だけ聞くと「何それ?」となりがちですが、しくみが分かると勉強の作戦が立てやすくなります。
まず、特色検査というのは、神奈川県の公立高校入試で行われる「普通の5科目の筆記試験とは別に用意される、もう1つの試験」です。英語・国語・数学・理科・社会の5科目のテストだけではなく、「うちの学校は、こういう力も見たいんだよね」と考える高校が、追加で試験を出すときに行われます。学校によっては楽器を演奏したり、絵を描いたり、運動したりといった技能系のテストになることもありますが、ここで説明するのは「筆記型(紙で解くタイプ)」の特色検査です。
筆記型の特色検査を行う高校は、ざっくり言うと「県内の上位校」が中心です。昔の学区制度があったころに、それぞれの地域でトップ校だったような高校が多い、というイメージを持ってください。さらに、専門学科系の学校、たとえば横浜国際高校や横浜サイエンスフロンティア高校のように、学校の特色がはっきりしているところも、特色検査を実施しています。つまり、神奈川県で上位の公立高校を目指すなら、5科目の勉強に加えて特色検査の対策も必要になる、ということです。
入試の合否は何で決まるのかというと、基本は「内申点」と「5科目の筆記試験」、そして「特色検査(実施校の場合)」の3つの組み合わせです。内申点だけ高くてもダメ、5科目だけ高くてもダメ、特色検査だけできてもダメ、となるのが上位校の入試の特徴です。だからこそ、この3つをどう伸ばすかが作戦になります。
では、特色検査の筆記型っていったいどんな問題なのか?
神奈川県教育委員会の説明をふまえると、特色検査では「思考力・判断力・表現力」を5科目のテストよりも細かく見ていく、という位置づけになっています。昔はもっと「いかにも特殊な問題」が多かった時期もありましたが、最近は選択式(選ぶ問題)が中心で、一部だけ記述が入る、という形が多くなっています。
ここで大事な注意点があります。横浜サイエンスフロンティア高校は横浜市立の高校なので、県立高校とは別の独自の特色検査を出しています。サイエンスフロンティアは記述型の問題が多めで、県立高校の特色検査とは性格がかなり違います。よって、「特色検査」と一口に言っても、県立型とサイエンスフロンティア型は別物だと思っておくと混乱しません。今回は県立高校の特色検査の話をします。
県立高校の特色検査は、100点満点です。そして問題の中身は大きく2つに分かれます。ひとつは「共通問題」で、どの実施校でも共通して出される部分です。これは合計50点分あります。もうひとつは「選択問題」で、いくつか用意されている大問の中から、各高校が選んで採用する部分です。これも合計50点分で、共通50点+選択50点=100点、という形になります。
共通問題は、「問1」と「問2」にあたる部分で、それぞれ25点ずつです。問1は英語の長文が素材として出てきて、その文章を読んだ上で各設問に答えていきます。問2は日本語の文章が素材として出てきて同じように読み取って答えていきます。ただし、ここが特色検査らしいところで、問1が英語素材だからといって「英語が得意なら楽勝!」みたいな単純な話にはなりません。英語で書かれている内容を日本語として理解して、そのうえで数学っぽいことを考えたり、理科・社会の知識も使って答えたりすることがあります。極端に言えば「素材は英語なのに、解く中身は数学っぽい」ということも起きます。だから特色検査は、よく言われるように「科目融合問題」だと考えるとイメージしやすいです。
さらに、融合されるのは5科目だけとは限りません。問題によっては、美術・音楽・保健体育・技術・家庭科などの「技能教科(副教科)」の考え方や知識が登場することもあります。つまり、特色検査は「ただの難しい問題」ではなく、「いろいろな材料を組み合わせて考える力」を試してくるテストなんだ、というのが本質です。
次に、選択問題です。最近の形式では、問3・問4・問5・問6といった大問が用意されていて、その中から各高校が2つを選んで採用します。1問あたり25点なので、2問で50点分、という計算です。ここも特色検査の面白いところで、問3・問4は、資料を読み取ってその場で考えるタイプや、推理っぽい問題、パズルっぽい問題など、「発想力や頭の柔らかさ」を試す色合いが強い傾向があります。反対に問5・問6は、資料を使いながらも、より骨太で本格的に「理屈で解き切る力」や「今までの理解の深さ」を問う問題になりやすいです。
そして、受験生の間でよく話題になるのが、「どの高校がどの選択問題を採用するか」です。湘南高校と翠嵐高校は、採用する選択問題がいつも違う、という傾向が続いているため、「問3・問4は湘南っぽい」「問5・問6は翠嵐っぽい」という見方をする人もいます。さらに、湘南型のほうが副教科も混ざりやすく、翠嵐型のほうが5科目の理解をガツンと問う色が強くなっています。
湘南・翠嵐以外の高校は、その年によって組み合わせが変わることもあるので、「今年は何が出るか」は分かりません。
難易度の感じ方としては、一般に問3・問4(発想型)のほうが取りやすい年が多く、問5・問6(骨太理論型)のほうが難しめになりやすい、という傾向はあります。だから同じ実力の人が受けたとき、学校や採用問題のタイプによって、特色検査の得点に差が出ることが多いです。
特色検査は、最初は怖く見えるかもしれません。でも、正体が「融合問題」であり、「資料を読んで考える試験」だと分かれば、対策のやり方は見えてきます。5科目の土台を固めつつ、初見の資料を落ち着いて読み取り、知識を組み合わせて答えを作る練習をしていく。これが特色検査の基本ルートです。

