岡本塾コラム 3 『名言から学ぶ』

「言って聞かせ、やってみせて、やらせてみて、ほめてやらねば人は動かじ」 

 これは太平洋戦争時の連合艦隊司令長官、山本五十六の言葉です。
人を動かす心得として現在でもいろいろなところで用いられています。
会社の管理職やスポーツのコーチなど、人にものを教える立場にある人物にとっては名言といえます。

一瞬の動きに多くの人命がかかっている軍隊という組織は、もっとも規律が厳しい集団といえます。
山本五十六は軍隊のトップの地位にいましたから自分の思うように人を動かしていたはずです。
その山本氏ですら人を動かすためには、
①言って聞かせ ②やってみせて ③やらせてみて ④ほめてやらねば人は動かないと言っているのです。

最初の「①言って聞かせる」ことでさえ、実際にやってみるのは難しいことです。
多くの場合、教える側が「言ったつもり」になって終わっています。
たとえば、「来週、漢字テストをやるから勉強していらっしゃい」ということを伝える時、どうすればよいのでしょうか。
まず体と顔を教師の方へ向かわせます。
ここで大事なのは「目」がお互いに向き合っているのかです。
目が合う合わないとでは情報の獲得精度に大きく差がでます。
ご家庭でも目が合ってからお話をするようお願いします。

次に私語をやめさせます。
さらに手に持っている物を置かせます。
そして、来週漢字テストをやることを伝えます。
最後に、子ども達に漢字テストの範囲と日時を念のために確認します。
これで初めて「言って聞かせた」ことになるのです。
つまり言って聞かせるまでの多くの工程を一つずつ分割して、
その工程を一つずつ確認してから言って聞かせることが大切です。

「②やってみせて」も①と同じです。
全ての工程を一気に見せるのではなく、工程を一つずつ区切って見せて、
理解できた事を確認してから次の工程に進んでください。

「③やらせてみて」も間違いやすいところです。
「言って聞かせ、やってみせた」あと、子どもが動かなかった場合、
教える側の多くは「何でやらないの、はやくやりなさい!」とおこってしまいます。
「おこる」や「ほめる」はやったことに対する評価です。
やってもいないうちからおこっても仕方がありません。
そういう時はもう一度「言って聞かせ、やってみせる」のです。

最後の「④ほめてやらねば」のほめ方次第で、
子どもが「これからもがんばろう」と思うか、それとも「もういいや」と思うかが決まります。

前回のテストで60点だった子が、今回70点をとりました。
その子に対して次のAとB、どちらの言葉をかけるのがよいのでしょうか。

 A… 「よくやったね。次回は80点めざしてがんばってね。」
 B… 「おめでとう。すごいね、前回から10点もアップしてる。」

 AだけかBの後にAを言うことが多いと思います。
しかしAを言われた子どもはほめられたとは感じません。
「次回もがんばれ」と単に尻をたたかれたと受け取ってしまいます。
こちらは褒めたつもりなのに子どもはそうは思わないのです。
Bのように良くなった点を探してでも誉めること、
そして「おめでとう」という言葉で表現されるように
「あなたの成長が私も嬉しいんだよ」と伝えてあげることが重要です。

本来、子どもというのは親に褒めてもらいたい気持ちを持っています。
その気持ちを汲んであげてください。
自分の成長を喜んでくれる人がいるというのは、子どもに大きな力を与えるのです。

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この記事を書いた人

横浜の妙蓮寺、菊名、大倉山にあり、翠嵐OBの塾長が未来の翠嵐生と一緒に頑張る塾。2018〜2020年入試で翠嵐、湘南の両校に3年連続で進学者を輩出した港北区内唯一の塾。2019・2020年入試で翠嵐・湘南の両校に2年連続で合格者が出たのはステップ、臨海、湘ゼミ、中萬、早稲アカ、岡本塾の6塾のみ。個人塾では岡本塾だけ!

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